遠野物語

今週のお題「読書の秋」

 

行列のパン屋に並ぶために本棚から虫食いの文庫本を引っ張り出して読んだ

これぞ

読書の秋と食欲の秋の融合

 

柳田国男はてっきり民俗学者だとおもっていたら

その前は官僚だったのかと

カバーの略歴紹介で知る

 

それを知って読むと

この文の難しさに納得

 

とにかく文が難しくて

それは古語っぽいからだけではなく

言葉の使い方や言い回しが

大衆的ではないというか

(時代的にも本人的にも普通なのかもしれないが)

まず普通に読むところからしてハードルが高い

 

そして馴染みのない地名と人名と動植物名

 

ああなんて難解な本なんだ

 

そういえば小学校だか中学校だかの頃

民俗好きの母から読め読めといわれていたが

母よ、なぜだ

なぜもっと平易な「図でみる!妖怪大全」とかを勧めてくれなかったのだ

 

大人になった今でもこんなに難しい

しかし

大人になったからこそ思い描ける情景もあることに気がついた

 

山里からさらわれる女たちがなぜさらわれるのかとか

さらわれたらどうなってしまうのかとか

村の長者の繁栄と衰退における人間の欲やいやらしさとか

変な生き物とその意味とか

すごく怖いわけではないけれど、ちょっとぞわりとする小話とか

じぶんの田舎とかぶる、遠野の風景とか

 

小学生の想像力と感受性では

この本が伝えようとする

日本の民俗の奥深さや

日本らしさに

この淡々とした文の放つこわさに

気づけないだろうと思った

 

大人になってから

秋の夜長に読むにはふさわしい

 

まだ半分も読めていないけど

だって難解なんだもん